人材育成

熊本県生コンクリート工業組合 味岡和國理事長インタビュー

熊本県内の公共事業に欠かすことが出来ない建設材料となるのが生コンクリート。常に安定供給に努めなければ工事がストップしてしまう。そのまとめ役ともいえる熊本県生コンクリート工業組合の味岡和國理事長は、スピード感のある業界の流れに対応しながら、業界の結束を強める。全国生コンクリート工業組合連合会(以下、全生)では副会長を務め、九州地区本部長として九州全体への気配りも忘れない。常に前向きな発想で業界を牽引する。

生コン業の現実

全国的に厳しい状況

国の公共投資の予算は対前年度からすると増えているわけですが、地震、台風、集中豪雨、火山の噴火など、全国的に災害が多発しているという現実があります。全国的に景気刺激策として公共予算をつけているけれど、突発的災害に対して予算が取られてしまっているのではないでしょうか。だから熊本県を見た場合、熊本地震により県央地域には比較的仕事が集中していますけれど、天草、八代にはありません。人吉・球磨に至っては一番冷え込んでいるのかもしれません。全国生コンクリート工業組合連合会(以下、全生)がまとめた生コン出荷数量も対前年度比で減少しています。全国的にこの業界は厳しい状況が続いているようです。

そこに来て国土交通省がi―Constructionを進行しています。この中で、我々にとって、特に厳しいのは、工期短縮によるコスト縮減を目指すため現場打ち施工からプレキャスト二次製品へシフトしていることです。二次製品が伸びるというのは生コン出荷量が落ちていくと言う事です。だから我々ももっと積極的に前向きな考え方で対応していかないと足をすくわれるかもしれません。九州地区本部長として全生にも危機感を持って臨むように働きかけてはいるんですが、もっと国に陳情するなり、何なりか対策を考えていかなければなりません。


ドライバー不足顕著

免許制度変更を要望へ

少子高齢化が進む中、若い労働者が不足しており、顕著なのがドライバーです。昔はすぐに大型免許が取れましたが、現行の制度では18歳で大型免許が取れない状況にあります。中々、普通免許を取って、再度学校に通って大型免許を取ろうとしない訳ですよ。我々生コン業界ばかりではなく、運送トラック業界も実情は変わりません。免許制度を変更しないと難しいと思います。この件についても警察庁への陳情や要望をどんどん行っていくべきだと思います。

業界内部の技術的な問題として、コンクリート技術者の認定制度があげられます。これは国家資格ではなくて、民間の日本コンクリート工学会がやっています。受験者は生コン業技術者をはじめセメントメーカー、建設業者、二次製品技術者など、多彩な人たちが集まります。以前から、国家資格として認めていただけるよう、声は上げていたのですが、中々、活動へとつながりません。全生にも働きかけてはいるんですが。


全国に先駆け工場見学

九州青年部活動を後押し

熊本県内では今、若い人の雇用を促進するために様々な活動を行っています。「生コン業はどういった仕事をしているのだろう」と疑問に思う若い人向けにパンフレットを作成し対応しています。全国に先駆けて生コン工場の現場見学会を開催しており、とても好評なんですよ。見学者にはコンクリートハンドブックを進呈しているほか、各学校に配布してます。これまで国立熊本高等専門学校、県内各工業高校、熊本YMCA学院専門学校などの生徒さんを招いています。見学後の意見交換では引率の先生から「学生の進路の選択肢として示したい。求人があるのですか」との質問もあったほどです。コンピューターで完全に制御された近代的な工場で生コンが生産されていることに深い理解を示していただいたと自負しています。熊本県内ばかりではなく九州地区本部でも会議の中で、熊本の活動を紹介しており、他県への波及を目指しているところです。

こうした活動の主力になっているのは実は青年部なんです。全生は青年部を独立した組織として未だ認めていない傾向にあります。だから、九州地区本部では認めていこうと言う事で、今年度から予算をつけて活動してもらっています。九州が一つにまとまるための活動では、共同事業委員会を中心に協議を進めています。沖縄で開催予定の次回協議会では、各県から九州全体の目標を考えて頂いて、それに向けた具体的な行動計画を作っていこうと思っています。

YMCA見学会の様子

  • YMCA見学会の様子

天草工業高校での見学会の様子

  • 天草工業高校での見学会の様子

韓国との交流継続

世界に誇る品質管理示す

韓国の大田・世宗・忠清生コンクリート工業協同組合(李寅行理事長)とは、平成24年から友好交流を結んでおり、今年も昨年に続き2回目の訪問を受けました。今回は工場の品質管理者を中心に総勢80人が2班に分かれて交流し、意見交換会と工場見学会をいました。訪問した韓国の組合は、忠清南道、忠清北道、大田広域市、世宗特別自治市にある80企業の中小生コン業者が組織し運営されています。主に共同販売事業に興味を示されているようですが、韓国ではそのようなシステムはないばかりか、世界でも日本だけのものなので理解されているのかは解りません。一方で、日本が世界に誇る生コンの品質管理についてしっかり学んでいらっしゃるのではないでしょうか。

当初、熊本県からの要請もあり、韓国との国際交流を受け入れてきました。活動拠点の一つとなっている忠清南道は、30年前から熊本県と姉妹提携を結んでいます。ちょうど提携30周年だった平成25年にはこちらからも韓国に出向き、熊本県の幹部の方々と一緒に交流を深めています。全生や九州地区本部にも交流を進めてはいるのですが、日本と韓国との外交が上手くいっていないこともあって中々手を挙げる人が居ないのが残念です。ただ国際交流は良い意味で続けていきたいと思っています。

フライアッシュ

協議会立ち上げ普及へ

私が今、特に注目しているのは、フライアッシュセメントです。これは石炭灰といわれるもので、原料生産の拠点は火力発電所になります。原発事故以来、日本には石炭燃料の火力発電所が増えてきています。主に木質系を原材料としたバイオマス燃料もあることはあるのですが、石炭に比べると火力が弱いので、石炭と混ぜて使っているようです。

フライアッシュの特徴は、セメントの代用としては抜群に良いマテリアルとなることです。品質管理は厳しいところがありますけれど、強度があるうえ、劣化がないんです。全生産量のうち日本のセメント業界で使われているのはまだ20%ぐらいしかありません。後はどうしているのかというと埋め立てに利用しています。今後、全国を股に掛けた協議会などを組織し、この材料を普及させるプロジェクトを立ち上げるかもしれません。

 

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