人材育成

熊本県立熊本農業高等学校 澤村 明彦 講師

熊本農業高等学校の澤村明彦先生は3年前に退職して、講師として子どもたちの指導にあたっている。40年間、技術者を育て上げながら、生徒たちの成長に目を細める。常に現場主義に徹するユニークな指導法で、実践向きな技術者を教育してきた。

―県内外へ毎年、数多くの技術者を輩出されておられます。現況はいかがでしょうか。

土木関係の仕事は、バブルの後、景気も落ち込んでいましたし、公共予算も削られていたので求人がほとんどありませんでした。しかし、熊本地震の後、増えてきており、今までに来なかったようなところからも声がかかっています。本校は、技術職の公務員養成を柱として指導を行ってきたという経緯がありますが、これだけ土木業者やコンサル業者からの需要が増えたことや、企業の受け入れ態勢が整ったことから、企業にも即戦力として活躍できるような人材を養成しています。具体的には、企業(就職)・公務員・進学など、いくつかのコースを設けて、それぞれのコースに見合った教科を選択して専門の授業を行っています。

―実情に即し社会に必要とされる技術者を養成しているということですか。

土木分野の専門のコースでは、少人数で実習とか教科の学習ができるようにしています。なるべく1年生の時から実験、実習を多く取り入れるようにしており、私の測量の授業では晴れたら実習、雨なら教科を原則として取り組んでいますし、毎朝、課外を行っています。課外は、クラスの半分は公務員の一般教養を学んでいます。3年生になると、夏休みの20日間は専門的な科目の課外授業が組み込まれます。こうして技術者として必要な専門知識をすべて子どもたちに与えていくことが我々の務めだと思っています。大変ですけどやりがいがあるんですよ。

―生徒さんもコース毎に専門の分野をやるとなるとやりがいがあると思いますが。

自分が将来進む道ですから、取り組む姿勢が違います。仕方なく受けている授業とは全然違うわけです。必要に迫られるとでも言うのでしょうか。そういう考え方で良いと思いますし、ずっと持ち続けてもらいたいとも考えます。

―専門技術を教える上で、気を付けていることはありますか。

私は土木関係の教科をすべて教えています。パソコンだけはやりません。現在、測量の分野では電子納品をするようになって、平板測量は無くなりました。でも1年生には平板測量をさせます。平板をしていればトータルステーションやGPSなどでのデータから図面をつくるときに役立ちます。基礎的な技術が解っているといろんなことに応用できますし、理解が早いと言えるかもしれません。

―生徒さんたちの進路はどのような状況なのですか。

毎年、約40人の3年生が農業土木科にいますが、10人前後が公務員、10数人が企業に就職しています。

―建設業界に望むことは。

休日の問題は重要だと思います。今は地震関連工事で忙しい時期だとは思いますが、「残業手当も決められた額しか出ないうえ、休日が少ない」と言って相談に来る卒業生もいます。ある意味ブラック企業として捉えているようです。大手の企業になると、その辺はしっかりしているみたいなんですけど、小さくなると仕方がない部分もあるかもしれません。ただ、OBが起業している、主力で頑張っているようなところには率先して、紹介するようにはしています。本校は企業、公務員とも卒業生のネットワークが強いことが、メリットの一つです。来年は創立120周年を迎えることができ、更なるつながりの強化が期待されるところです。

―土木技術者養成にこだわりはありますか。

私は子供たちの成長を常に楽しみにしています。土木関係の企業に進む子どもたちのために、3年生になると土木工事をミニ体験させています。40年間、私が赴任した学校でやってきました。校内の道路、側溝、花壇などの工事を毎年、課題研究で実施しています。農業高校は敷地が広いうえ、動物がいますので、飼育施設を造ったりもしています。子どもたちも喜んで、課題に取り組んでおり、現場を体験することで、ものづくりへの魅力を感じてもらうことが出来るのではないでしょうか。

校内の道路、側溝、花壇などの工事を毎年、課題研究で実施し、土木工事をミニ体験させている。現場を体験することでものづくりへの魅力を伝えているという

  • 校内の道路、側溝、花壇などの工事を毎年、課題研究で実施し、土木工事をミニ体験させている。現場を体験することでものづくりへの魅力を伝えているという

熊本県立熊本農業高等学校 澤村明彦 講師

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